他人の顔

  

FMではやたらCMを垂れ流す事でおなじみの『劇場版テンペスト３D』(
現在公開中)。なぜに３D？と首をかしげているのは私だけではあるまい。映画館（スターシアターズ系）へ足を運ぶ度、予告編にお目にかかるが正直言って辟易する。あれだけ乱立しているハリウッド産の３D映画に紛れちゃってるもんだから、もうどうにもこうにも・・・。原作もドラマも知らないが、あの予告編だけ観ても必要性が全く感じられない。さらに念を押すようにタイトルに冠しているのだから、マヌケを通り越して哀れみすら感じてしまう。

何もかもが腰くだけな予告編だが、それが頂点に達するのは何度観てもGACKT登場シーンだ。清から遣わされた宦官なんだそう。中国人じゃないだろうオマエ。GACKT自身エキセントリックさが際立ってるから、いくら弁髪になったところで「おっ、GACKT何て奇矯な髪型してんだろ」と受け取られて結局GACKTにしか見えない。「中国人のつもりなんだなぁ」とわかり始めるまでには３秒ほどかかる。あ、でも宦官というのにはちょっとわかるような気がする。わずかながらも持っている中性的に似た部分を買ってでのキャスティングなのだろうか。まぁ、いずれにしても多分その他どんな扮装をさせてもGACKTはGACKTだろう。

最近、撮影中にケガという芸能ニュースが報じられるほど俳優業に力を入れているらしいGACKT。何役に扮した（つもりの）GACKTが見られるのか要注目。
  

ある目的地までバスで向かい、そこで降りて時間が空いたので、朝ということもあって時間を潰せる場所が無く、バスの待合室で本を読んでいると、私ひとりしかいないその場に誰かが入ってきた。誰なのか直視できず、ほどなくしてその場を去る際に分かったのだが、丸坊主の学生であった。この男、室内に響かんばかりに音楽をかけているのである。たぶん携帯電話か、I-podでかけているのだろう。どこかで聞いた事がある最近の流行曲である。ケツメイシか、Greeeenか、それとも湘南乃風か、音楽無知な私にはわからない。公衆の場にひとりの世界に浸っているこの男、恥も外聞も無いものか。

いや、こうしてエゴ丸出しで迷惑をかけていることに憤っているのではない（憤ってるけど）。赤の他人に己の趣味や価値をさらけ出すという恥ずかしいことをしているんだろうと思うのだ。相手が気心の知れた仲でそうやるのは当然だが、今後二度と会わないであろう通りすがりの人にはなかなかできないと思うが。

「（一般的には）メジャーな曲だから誰の耳にも害にはならないだろう」とでも思っているのだろうか。そういう問題じゃないが、もしそうだとしたらそれも含めて恥ずかしい。

趣味や価値をさらけ出すことの恥ずかしさは極端な例を挙げると、よく好きな異性の話として「好きな芸能人は？」というのがある。よくバラエティ番組でのアンケートや、昔でいう「ねるとん紅鯨団」で出場者の紹介テロップにあるが、あれって本気で答えているのだろうか。本当にいないんで適当な人で答えているかもしれないが。私の場合は本当の人に近い芸能人でお茶を濁すようにしている。どうしても場が収まらなかったら、「う〜ん、小雪。」と答えているが本当の人は言わない。いまひとつ伝えづらいこの恥ずかしさ、自意識過剰と言われればそれまでだが。