2013年05月23日
某ファストフード店で熱弁を振るってたおっさん

注文したメニューを待ちながらしばし本を読んでいると、どこからともなくこの地(沖縄)では聞き慣れない訛りが入った野太い声が耳を突いてきた。声の主は向かいの席にふんぞり返って連れの作業服の若い男に熱弁を振るっているおっさんだった。訛りは細かい地域は特定できないが関西圏であることは間違いない。連れと違ってスーツ姿(このとき上着のジャケットは脱いでいた)で年の頃は40なかばくらい。ハイブリット車がどうのこうのといった環境エネルギーっぽいことをドヤ顔で延々まくしたてていた。
少々胡散臭い光景に目を合わさず本を読んでるふりをしてしばらく様子をうかがっていると、どうやら作業服の男がおっさんに相談事を持ちかけているように見えてきた。ボルテージは上がる一方で周りの迷惑を顧みないおっさんの口調は熱を帯びるばかりで店内に響き渡る。そこで新たにひとり作業服の男が合流してきたので締めの言葉でこう言い放った。
「まぁ、人生いろいろだからな」
思わず本を閉じてしまった。
「人生いろいろ」・・・島倉千代子の美声のおかげで、よくありふれた言葉のような錯覚に陥っていたのだが、実生活ではいま初めて聞いたような気がする。このおっさんがどのような人生を歩んで、どんだけ立派な人かは知らないけど、よくも臆面もなしに言えたもんだなぁと思う。よくよく考えたらものすごい言葉だ。「山」と「谷」の高低の差が激しい波瀾万丈の人生を振り返るときか、いろんな人間たちの人生を俯瞰で見たときぐらいしか用途が見つからない言葉にしか思えないんだが、前者でいえば、まだ人生の折り返し地点にさしかかろうかという年齢にしては使うのはまだ早いだろうし、後者でいえば「我は神なり」とでも言いたいのか。どっちにしろもう言い放ってしまったおっさんの心理を探らずにはいられないお昼時であった。
Posted by イリー・K at 03:07│Comments(0)
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