「映画泥棒」の新キャラクター

イリー・K

2014年11月24日 22:45


 もう彼がスクリーンに登場して何年になるのだろう。多数の観客の心を逆なですることでおなじみの通称カメラ男である。「逆なで」とは書いたが私は幾分かは仏の心で彼を見守ってはいた。お忘れの方が多いと思うが彼が登場する前、当時無名だった谷村美月が黒い涙を流し水面に落ちて出来た波紋がドクロに変わる昔の政府公報も真っ青なCMに比べりゃあ親しみがあっていいではないかと。しかし最近の新しいバージョンにはちょっと鼻持ちならない。あれはいかがなものか。

 まぁパトランプ男までは許そう。盗撮を摘発する側として必要不可欠だしシンボルとして登場するのは何ら不思議は無い。しかし今度のは何だポップコーン男とジュース男って。そんなにキャラクター増やす必要があるのかね。

 長年やってきて効果が上がっているのかはひとまず置いといて、何作か更新されてきたこのNoMore映画泥棒キャンペーンのCMを観て思うのは進歩の無さと作り替えるにしても用いられるのは驚くほどの安易さである。毎回ナレーション原稿は同じだし。同じなら作り替える必要はないではないか。一度作ったものを変えずに流し続けても観客の意識に刷り込まれれば啓発が成就されることもあるだろうし。

 なぜにこうも安易なのか。流すのは本編前というタイミング、耳目を塞がない限り観客は「観ない」という選択肢が存在しない。映画館を除けば街中の看板や雑誌媒体、テレビやラジオなどは、見る(聞く)かどうか消費者(観客)の自由だし、その中でいかに見させる(興味を引かせる)かさらに購買意欲につなげる成果を生むかで工夫を問われる広告業とは真逆の状態である。「みんなが観ている」ことが前提であるからしてあのような安易なキャラクターを生んでしまうのである。あのCM、見させることは不可避で成立しているが盗撮防止という成果を生んでいるかはわからない。ちなみに公式情報によればポップコーン君は感情が高ぶるとポップコーンが飛び出し、ジュース君は怒るとストローが回るんだって。ふ〜ん。

2010/05/26


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