北大路魯山人
日本だけに限らず資本主義社会ならどこでもより良い商品を他社より作り出そうとしのぎを削る競争社会が広がっている。それとはまた別にいままでに存在しないすき間を狙った「コロンブスの卵」的なモノが登場したりする。発明が趣味の専業主婦が一発当てるようなラインとか特定の趣味趣向の人向けのラインとか様々だが、今朝の新聞の経済頁でこんなモノが紹介されていた。その名も「魯山人納豆鉢」。ただの納豆まぜ器に魯山人の名を冠するとは。
いまでは美食家、というよりもおそらく「かの魯山人の愛弟子・・・」のフレーズの方が知られている北大路魯山人はなんでも納豆の愛好家だったらしく、混ぜれば混ぜるほどコクが出て美味しく頂けるのだそうな。その美味しい食べ方諸々が記された文献をもとに味覚の専門家が割り出した理想的な混ぜる回数は424回。それをハンドル1回転につき2回分混ぜるよう設計して完成させたのが魯山人納豆鉢である。今までも魯山人をダシにした商品は腐る程あっただろうが、そのほとんどは高級指向であっただろうと思われる。そこに高級とは無縁な納豆を結びつけたのはあまり無かったのではないか。
ただ、単に424回かき混ぜる肉体的負担を軽減するだけの代物なんだが、意外にあれではないのか?多くかき混ぜるからこそ美味しく「感じる」んじゃないのか?よくはわからないが「サウナに長く入っていればいるほど、その後のビールがうまい」だとか「飲んだ後のラーメンは最高」だとか、科学的根拠の無い味覚。多くかき混ぜた疲労が美味しさに直結するということではないのか?少々根拠が疑わしい商品なんだが、なんと当たっているようで目標の2倍の売れ行きで一時品薄になることもあるんだとか。全くもって勝因はどこに転がっているか判らないが、とりあえず今晩は納豆を424回かき混ぜてみようと思う。
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